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省令準耐火構造とは?工務店・住宅会社が押さえるべき基準・施工のポイント

省令準耐火構造とは?工務店・住宅会社が押さえるべき基準・施工のポイント

木造住宅の設計や施工において「省令準耐火構造」への対応は、施主に安心と経済的メリットを提供するための重要な要素です。一方で、認定基準を満たさなければ、省令準耐火構造として認められないため、仕様の理解と適切な施工管理が欠かせません。

そこで本記事では、省令準耐火構造の基本的な定義や法的基準との違いをはじめ、メリットや設計上の注意点をわかりやすく解説します。また、現場での施工ポイントや施主から適合証明を求められた際の対応方法まで網羅しました。

自社の提案力強化や現場の品質向上に、ぜひ本記事をお役立てください。

▼この記事を読んでわかること

  • 省令準耐火構造とは?
  • 省令準耐火構造にするメリット
  • 省令準耐火構造のデメリットと対策
  • 省令準耐火構造の施工時に工務店が注意すべきポイント
  • 省令準耐火構造の確認方法・証明について
  • 省令準耐火構造に関するよくある質問

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省令準耐火構造とは?

省令準耐火構造とは?

ここでは、省令準耐火構造の基本的な定義と、建築基準法で定められる「準耐火構造」との明確な違いについて詳しく解説します。

▼省令準耐火構造とは?

  • 省令準耐火構造の定義
  • 建築基準法上の「準耐火構造」との違い

省令準耐火構造の定義

省令準耐火構造とは、住宅金融支援機構が独自に定めた防火基準を満たす木造住宅のことです。一般的な木造住宅よりも火災に強く、被害を最小限に食い止める性能を備えています。

具体的には、以下の3つの防火性能が求められます。

  • 外部からの延焼防止
  • 各室防火
  • 他室への延焼遅延

省令準耐火構造は、火災保険の構造区分において準耐火構造と同等の「T構造」として扱われます。そのため、木造住宅でありながら、一般的な木造軸組工法に比べて火災保険料が安くなる判定を得ることができます。

建築基準法上の「準耐火構造」との違い

「準耐火構造」が建築基準法に基づく法的基準であるのに対し、「省令準耐火構造」は住宅金融支援機構が定める任意の基準です。設定された目的や、適用される制度の枠組みが異なります。

建築基準法における準耐火構造は、防火地域や準防火地域などで建物を建てる際に、法令上クリアしなければならない必須要件です。一方で省令準耐火構造は、法令上の義務ではなく、住宅ローンや保険料の優遇措置を受けるために任意で採用される仕様です。

平成22年に、火災保険の構造区分が大きく変更されました。この改定によって、省令準耐火構造の住宅は鉄骨造などの耐火建築物と同じ「T構造」に分類されるようになった経緯があります。

省令準耐火構造にするメリット

省令準耐火構造にするメリット

ここでは、省令準耐火構造にするメリットを3つ紹介します。

▼省令準耐火構造にするメリット

  • メリット①|火災保険料・地震保険料が下がる
  • メリット②|火災時の被害を最小限に抑えやすい
  • メリット③|住宅の付加価値向上につながる

メリット①|火災保険料・地震保険料が下がる

省令準耐火構造にするメリットは、施主が支払う火災保険料や地震保険料が安くなることです。省令準耐火構造に適合させることで、一般的な木造住宅(H構造)ではなく、鉄骨造などと同等の「T構造」として評価されるからです。

実際の保険契約では、通常の木造住宅と比較して火災保険料が約50%軽減されるケースも珍しくありません。また、火災保険だけでなく地震保険においても有利な構造区分が適用されます。

例えば、数十年というスパンで支払う保険料の総額を計算すると、数十万円から百万円以上のコストダウンが期待できます。建てる際の初期費用が多少増えたとしても、入居後のランニングコスト削減効果が大きいため、施主にとって魅力的な提案となります。

メリット②|火災時の被害を最小限に抑えやすい

万が一の火災が発生した際に、被害を最小限に食い止められることも大きなメリットです。壁や天井の内部に火の通り道を塞ぐ工夫が施され、避難や初期消火のための時間が確保されているからです。

具体的には、内装下地材として使用される石膏ボードが重要な役割を担っています。ボード内に含まれる結晶水が熱によって水蒸気として放出され、約20分間にわたり室内の温度上昇を抑止する仕組みです。

また、壁や天井の内部にはファイヤーストップ材を設け、空気の流れを遮断して火の回りを物理的に防ぐ役割を果たします。こうした仕様によって、火が他の部屋へ燃え広がるのを遅らせる「各室防火」や「延焼遅延」が可能になります。

メリット③|住宅の付加価値向上につながる

省令準耐火構造を採用すると、住宅そのものの価値を高められます。

競合他社との相見積もりになった際、火災保険料の優遇という経済的メリットは、強力な提案材料として機能します。また、省令準耐火構造は長期優良住宅やZEHなどの各種認定制度とも相性が良く、併用しやすいのが特徴です。

これらを組み合わせることで、省エネ性能と高い耐火性を兼ね備えた、質の高い住まいを提供できるようになります。結果として、住宅の付加価値を高めるとともに、自社の提案力や競争力の向上にもつながります。

省令準耐火構造のデメリットと対策

省令準耐火構造のデメリットと対策

省令準耐火構造は多くのメリットをもたらしますが、一方で建築コストや設計面での制約といったデメリットも存在します。ここでは、想定される3つのデメリットと、具体的な対策を解説します。

▼省令準耐火構造のデメリットと対策

  • デメリット①|建築コストが上がる
  • デメリット②|間取り・デザインの自由度が下がる
  • デメリット③|修繕・リフォーム時に制約が生じる場合がある

デメリット①|建築コストが上がる

省令準耐火構造を採用した場合、通常の木造住宅に比べて初期の建築費用は上昇します。住宅金融支援機構が定める厳格な防火基準をクリアするため、より多くの資材と特別な施工工程が求められるからです。

具体的には、天井や内壁の仕上げ下地として、12.5mm以上の分厚い石膏ボードを採用するか、9.5mmのボードを2重に張らなければなりません。加えて、壁や天井の内部には延焼を防ぐファイヤーストップ材を追加で施工する必要があります。

こうした制約により、材料費が上がるだけでなく、現場での大工の手間も増えることになります。

こうしたコスト増への対策としては、省令準耐火構造の仕様をあらかじめ自社の標準仕様に組み込んでおくことが効果的です。毎回仕様を検討する手間や資材の個別発注がなくなり、大工も仕様に習熟することで施工効率が上がるため、コスト増加分を一定程度抑えられます。

また、将来安くなる火災保険料を含めた総費用のシミュレーションを提示すれば、施主の不安を払拭できます。

デメリット②|間取り・デザインの自由度が下がる

省令準耐火構造の仕様を守ろうとすると、間取りや空間デザインに一定の制限がかかる場合があります。各部屋で火災を食い止める「各室防火」の観点から、空間の連続性や開口部の設け方にルールが存在するからです。

例えば、梁や柱をあえて室内に見せる「あらわし」を取り入れる場合は、木材の寸法を通常より大きくするなどの特別な対応が求められます。また、吹き抜けのような大空間を作ったり、延焼ラインにかかる窓やドアを設置したりする際にも、仕様の制約を受けるケースが少なくありません。

そのため、設計の初期段階から防火上の制約を念頭に置いたプランニングをするべきです。施主の要望をヒアリングする時点で、デザインと安全性のバランスをすり合わせておくことが欠かせません。

デメリット③|修繕・リフォーム時に制約が生じる場合がある

将来的にリフォームや修繕をする際、工事の選択肢に制約が生じやすいこともデメリットとして挙げられます。増改築などを実施する際にも、省令準耐火構造の性能を維持したまま施工を完了させなければならないからです。

基準を知らずに、認定仕様外の材料で壁や天井を張り替えてしまうと、本来備わっていた防火性能が失われてしまいます。その結果、火災保険の契約更新時や万が一の火災発生時に、有利な保険適用が認められなくなるリスクも想定されます。

この問題を回避するには、新築時にどのような材料を使い、どこに防火措置を施したかを記録に残しておくことが有効です。詳細な施工図面や仕様書を適切に保管し、将来の改修時にも性能を損なわないプランを提案できる体制を整えましょう。

省令準耐火構造の施工時に工務店が注意すべきポイント

省令準耐火構造の施工時に工務店が注意すべきポイント

ここでは、工務店や施工管理者が、実際の建築工程で特に注意して確認すべき3つの重要ポイントを解説します。

▼省令準耐火構造の施工時に工務店が注意すべきポイント

  • ポイント①|認定仕様に適合した材料・工法を採用する
  • ポイント②|電気ボックス・配管など貫通部の処理を徹底する
  • ポイント③|施工マニュアルを遵守し品質管理を徹底する

ポイント①|認定仕様に適合した材料・工法を採用する

材料選びから現場の施工方法に至るまで、認定書で指定された仕様を厳密に守る必要があります。認定の内容から少しでも外れた材料や寸法を採用すると、基準を満たす住宅として認められなくなるためです。

特に見落としやすいのが、外壁の室内側の下地材と、間柱・間仕切り壁など下地の断面寸法・設置間隔です。省令準耐火構造では、間柱は45mm×45mm以上・500mm以下の間隔で設置することとされており、この範囲を超えて間隔を広げると認定仕様から外れてしまいます。

さらに、壁内へ充填する断熱材も、材質・厚さ・密度が仕様書に定められた組み合わせに適合しているかが問われます。定められた要件をクリアする「フォームライトSL」のような製品を適切に選定してください。

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ポイント②|電気ボックス・配管など貫通部の処理を徹底する

電気配線や設備配管が壁や天井を貫通する部分は、隙間なく入念に防火処理を施しましょう。石膏ボードに穴を開ける貫通部は、火災時に炎や煙が他の部屋へ回り込む弱点になりやすいからです。

コンセント用の気ボックスや換気ダクトの周囲は、施工時に隙間が生じてしまいます。そのため、配管の周りにはファイヤーストップ材などの専用部材を充填し、空気の通り道を完全に遮断しなければなりません。

この処理が甘いと、完了検査で不合格になるだけでなく、万が一の火災時に被害が拡大する恐れがあります。貫通部のわずかな隙間が家全体の防火性能を左右するため、細部まで隙のない施工を心がけてください。

ポイント③|施工マニュアルを遵守し品質管理を徹底する

現場の作業員全員が施工マニュアルを正しく理解し、厳格な品質管理体制を敷くことが欠かせません。省令準耐火構造は、ビスの留め方一つをとっても細かな規定があり、正確な施工手順が求められます。

例えば、天井下地のジョイント部分における気密性の確保や、石膏ボードを留めるビスピッチの適正間隔など、確認すべき項目は多岐にわたります。作業の抜け漏れを防ぐには、事前に「省令準耐火チェックリスト」を活用し、各条件をクリアしているか現場で一つずつ点検する仕組みづくりが有効です。

また、壁を塞ぐと見えなくなる部分は必ず詳細な施工写真を撮影しておきましょう。こうした記録を残しながら工程管理をすることが、後日施主へ性能を適切に証明する際の重要な裏付けとなります。

省令準耐火構造の確認方法・証明について

省令準耐火構造の確認方法・証明について

ここで は、設計図書から仕様を読み取るポイントと、施主へ適切に証明書を発行するための実務的な対応手順について解説します。

▼省令準耐火構造の確認方法・証明について

  • 設計図面・仕様書のどこを見ればわかるか
  • 施主から証明を求められた場合の対応方法

設計図面・仕様書のどこを見ればわかるか

省令準耐火構造に該当するかどうかは、「木造住宅工事仕様書」および「特記仕様書」の記載内容で確認します。これらは住宅金融支援機構が省令準耐火構造の仕様として定めているもので、木造軸組工法・枠組壁工法それぞれについて、部位ごとの材料・工法が詳細に規定されています。

まず確認すべきは、木造住宅工事仕様書のうち省令準耐火構造に該当する章です。外壁・軒裏の防火構造、屋根の不燃材料、天井・内壁の石膏ボードの厚み、ファイヤーストップ材の設置箇所といった項目が、基準と一致しているかをチェックします。

フラット35を利用する場合は、設計検査申請時にこの特記仕様書のコピー添付が必要になる点も押さえておきましょう。

施主から証明を求められた場合の対応方法

施主から構造の証明を求められた際は、該当する仕様書や現場の施工写真などを速やかに揃えて提示しましょう。

具体的には、設計図面や特記仕様書のほか、施工過程を記録した写真が証拠となります。特に、壁や天井の石膏ボードが隙間なく張られている様子や、ファイヤーストップ材が正しく設置されている状態などの記録が不可欠です。

これらの資料を取りまとめ、工務店として適合証明書を発行するのが一般的な実務フローとなります。円滑な証明手続きをするためには、工事中から必要な記録を漏れなく保管し、いつでも施主へ提出できる準備を整えておくことが求められます。

省令準耐火構造に関するよくある質問

省令準耐火構造に関するよくある質問

最後に、省令準耐火構造に関するよくある質問に回答していきます。

▼省令準耐火構造に関するよくある質問

  • 質問①|省令準耐火構造は既存住宅でも適用されますか?
  • 質問②|省令準耐火構造とZEH・長期優良住宅は両立できますか?

質問①|省令準耐火構造は既存住宅でも適用されますか?

はい、リフォームによって既存の木造住宅を省令準耐火構造に適合させることは可能です。

ただし、新築時と同様に住宅金融支援機構が定める仕様をクリアする必要があります。天井や壁を解体して石膏ボードの厚みやファイヤーストップ材の施工状態を確認・改修する大規模な工事になるケースが一般的です。

また、木住協仕様の特記仕様書を用いる場合は、所定の講習を受講した技術者がいる会員会社での施工が要件となるため、対応可能な工務店は限られます。

参照:木住協「省令準耐火構造リフォームの推進に向けて」

質問②|省令準耐火構造とZEH・長期優良住宅は両立できますか?

はい、省令準耐火構造は、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)や長期優良住宅の基準と両立できます。防火性能と省エネ・耐久性能は、それぞれ異なるアプローチで建物の価値を高める仕組みだからです。

ただし、両立させるには相応の設計上の工夫が必要です。ZEHの認定には、外皮性能だけでなく、一次エネルギー消費量の削減や太陽光発電などによる創エネも含めた複数の基準を満たす必要があります。

なお、ZEH水準については以下の記事をご参照ください。

>>ZEH水準とは?ZEHとの違いや活用できる補助金・控除について解説

まとめ

まとめ

省令準耐火構造を正しく理解し標準化することは、工務店にとって施主の満足度と自社の信頼性を同時に高める武器となります。火災保険料の大幅な割引や高い安全性を提示でき、競合との差別化を図り提案を有利に進められるからです。

一方で、厳格な認定仕様の遵守や、配管貫通部の確実な防火処理など、現場での徹底した品質管理が求められます。施工写真の保存や証明書の準備など、引き渡し後の実務も見据えた対応が欠かせません。

設計段階から施工、引き渡しまでの正しいフローを社内で確立し、省令準耐火構造のメリットを最大限に活かした質の高い家づくりを目指しましょう。

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