
「吹き付けウレタン断熱は、年数が経つと劣化するの?」
「長く性能を保つには、どのような断熱材や施工業者を選べばよい?」
このようにお悩みではありませんか?
断熱材は、壁の中に入るとあとから状態を確認しにくい建材です。そのため、「何年くらい性能が続くのか」「劣化したらどうなるのか」といった不安を持つ方は少なくありません。
吹き付けウレタン断熱材の劣化には、経年変化だけでなく、施工時の条件や使用環境も関係します。適切に施工された場合は長期間使用できますが、直射日光や雨水にさらされる環境では、劣化が早まる可能性があります。
そこで本記事では、吹き付けウレタン断熱の耐用年数の考え方、劣化の主な原因、劣化で起こる問題について詳しく解説します。吹き付けウレタン断熱の劣化リスクを抑える方法や既存建物の点検・補修方法まで紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
|
▼この記事でわかること
|

フォームライトSLは、木造住宅向けの現場発泡ウレタンフォーム断熱材のシリーズです。水発泡のノンフロンタイプ「フォームライトSL-100」や、HFO発泡剤を使用した高性能タイプ「フォームライトSL-50α」などをラインナップしています。
断熱材の長期的な性能が気になる方は、以下のページから製品の詳細をご確認ください。
吹き付けウレタン断熱は経年劣化するのか?

吹き付けウレタン断熱は、長期間の使用によって断熱性能や状態が変化する場合があります。ただし、適切に施工されていれば、短期間で大きく劣化するものではありません。
硬質ウレタンフォームの業界団体によると、住宅や冷凍冷蔵倉庫などで30年以上使用されている例もあります。
フォームライトSLのように、壁の中に充填される断熱材は、日光にさらされる機会が少なく、物理的な力も加わりにくいです。そのため、外的な要因による劣化は、起こりにくい環境にあります。
吹き付けウレタン断熱が劣化する主な原因

吹き付けウレタン断熱の劣化には、いくつかの原因があります。ここでは、主な4つの原因を紹介します。
|
▼吹き付けウレタン断熱が劣化する主な原因
|
原因①|発泡ガスが空気に置き換わり、熱伝導率が変化する
吹き付けウレタン断熱が劣化する原因のひとつは、気泡内の発泡ガスが空気に置き換わり、熱伝導率が変化することです。気泡内に熱を伝えにくいガスを閉じ込めている断熱材では、時間の経過とともに、ガスの拡散と空気の流入が起こります。
ウレタン断熱材の長期性能を扱った研究では、気泡内のガスが外へ拡散し、熱伝導率の高い空気が入ることで、熱伝導率が上昇していく仕組みが示されています。
一方で、フォームライトSLシリーズには、製品ごとに違いがあります。
|
製品 |
発泡方式 |
ガスの置換による影響 |
|
SL-100 |
水発泡(断熱ガスは使用していない) |
断熱ガスの置換による性能変化は想定されない |
|
SL-50α |
HFO発泡剤を使用 |
HFOを含むため、一般的な仕組みが関係する |
|
Bio Meguru SL-50e |
HFO発泡剤を使用 |
HFOを含むため、一般的な仕組みが関係する |
SL-100は、気泡内が空気であるため、ガスが空気に入れ替わっても性能が劣化することはありません。HFOを使用する製品は、一般的なガスの置換の仕組みが関係するため、断熱性能の考え方を、あらかじめ確認しておくことが大切です。
製品を選ぶ際は、どの発泡剤を使用しているかを確認しましょう。
原因②|施工条件によって収縮・接着不良が起き、隙間ができる
吹き付けウレタン断熱は、施工時の条件によって収縮や接着不良が生じ、壁との間に隙間ができる場合があります。現場で原液を混合して発泡させるため、温度や下地の状態などが施工品質に影響します。
例えば、次のような条件が挙げられます。
- 施工時の温度が、原液の使用標準範囲から外れている
- 下地が濡れていたり、汚れや油が付着していたりする
- 原液の混合状態が適切でなく、フォームに色むらやパサつきが生じる
日本ウレタン断熱協会の品質管理基準でも、施工前に温度や下地の状態などを確認することが求められています。断熱材に隙間が生じると、断熱性能や気密性能が低下するおそれがあるため、適切な施工管理が欠かせません。
原因③|湿気や内部結露が断熱材に影響する
湿気や内部結露が、断熱材に影響することも劣化原因のひとつです。壁の中に湿気が入り込み、温度差で結露が起きると、断熱材や周辺の構造体に影響が出ます。
硬質ウレタンフォームは、独立気泡の構造で、水や水蒸気が浸入しにくい性質があります。実際に、ウレタンフォーム工業会の事例では、強制的に約10%の水分を含ませた試験でも、熱伝導率の変化率は約8%でした。
ただし、すべての吹き付けウレタン断熱材が、同じ耐湿性能を備えているわけではありません。製品の種類によって、湿気の通しやすさは異なります。
また、壁の内部で結露が続くと、木材の腐朽やカビの発生につながるおそれがあります。こうした問題を防ぐには、断熱材の性能だけでなく、壁全体の防湿・結露対策も重要です。
原因④|建物の動きによって断熱材に隙間が生じる
建物の動きによって断熱材に隙間が生じることも劣化原因のひとつです。柱や梁などの構造体が動くと、接着していた断熱材との間に、隙間ができる場合があります。
例えば、木造住宅では、木材が乾燥に伴って収縮したり、地震や風で建物がわずかに動いたりします。接着が不十分な箇所では、こうした動きの影響を受けやすくなります。
現場発泡のウレタン断熱材は、構造体に密着して施工できる点が特徴です。ただし、建物の動きへの追従性は、製品の種類や施工状態によって異なります。
建物の動きに対応できる、施工品質を確認しましょう。
断熱材の劣化は、製品の特性と施工品質の両方が関係します。フォームライトSLの発泡方式や特徴は、製品ページで紹介しています。長期的な性能を重視して断熱材を選びたい方は、ぜひご確認ください。
吹き付けウレタン断熱の劣化によって起こる問題

吹き付けウレタン断熱が劣化すると、住まいの快適性だけでなく、建物の寿命にも影響が出るおそれがあります。ここでは、起こりうる3つの問題を紹介します。
|
▼吹き付けウレタン断熱の劣化によって起こる問題
|
断熱性能・気密性能の低下
吹き付けウレタン断熱の劣化によって最初に起こるのは、断熱性能や気密性能の低下です。断熱材に隙間や収縮が生じると、熱の出入りや空気の漏れが増えるためです。
例えば、冬は暖房が効きにくくなり、夏は冷房の効きが悪くなります。壁の一部が冷たく感じる場合もあり、光熱費が増える原因にもなります。
室内の温度に違和感がある場合は、断熱材の状態を確認しましょう。
壁内結露やカビの発生
断熱材に隙間が生じると、壁内結露やカビが発生するおそれがあります。
結露によって壁の内部が湿った状態になると、カビが繁殖しやすくなります。また、壁内結露は目視で確認しにくく、発見が遅れるケースも少なくありません。
カビの発生や建材の劣化を防ぐためにも、結露の原因を早めに特定し、適切に対処することが大切です。
建物の耐久性への悪影響
吹き付けウレタン断熱の劣化を放置すると、建物の耐久性にも悪影響が及びます。壁内結露が続くと柱や梁などの木材が湿って、腐朽やシロアリの被害を受けやすくなるためです。
また、金属部分は、水分によってサビや腐食が進みます。構造体が傷むと、補修の範囲が広がり、費用も大きくなります。建物を長持ちさせるためにも、断熱材の劣化を早めに把握しましょう。
吹き付けウレタン断熱の劣化リスクを抑える方法

吹き付けウレタン断熱の劣化は、製品選びと施工の品質によって、リスクを抑えられます。ここでは、吹き付けウレタン断熱の劣化リスクを抑える3つの方法を紹介します。
|
▼吹き付けウレタン断熱の劣化リスクを抑える方法
|
建物の用途・部位に合った種類を選ぶ
吹き付けウレタン断熱の劣化リスクを抑えるには、建物の用途や施工する部位に合った種類を選ぶことが大切です。種類によって、向いている用途や性能が異なるためです。
JIS A 9526では、種類が用途ごとに分けられています。例えば、A種1Hは壁や屋根裏など、A種2Hは冷蔵倉庫などに適した種類です。また、A種3は低密度で、壁などの充填断熱工法に使用できます。
建物の構造や部位に合った種類を、施工業者に確認しましょう。
厚み測定と気密測定で施工品質を記録に残す
施工品質を保つには、厚み測定と気密測定を行い、記録に残すことが有効です。施工の状態を、数値と記録で確認するためです。
日本ウレタン断熱協会の品質管理基準では、施工中に厚さ測定器で確認し、厚さが不足していれば吹き増しを行うとしています。また、日々の施工記録には、施工日や天候、使用材料の品番・ロット番号、施工厚さなどを記録し、完工後3年保管するとされています。
気密測定は、完成した建物の気密性能を、数値で確認する方法です。測定結果も記録として残しておきましょう。
品質管理体制の整った施工業者・製品を選ぶ
劣化リスクを抑えるには、品質管理体制が整った施工業者と適切な製品を選ぶことが重要です。吹き付けウレタン断熱は、現場での施工品質が、性能を大きく左右します。
確認したい点は、次のとおりです。
- 施工前の温度や下地の確認を、記録しているか
- 厚み測定を行い、結果を提示してもらえるか
- 施工の管理を担当する責任者がいるか
- メーカーの技術サポートや、施工要領があるか
熱絶縁施工技能士は、熱絶縁施工に関する試験に合格した国家資格です。施工者がこの資格を持っているかは、確認材料の一つになります。ただし、戸建て住宅では、この資格の有無が必ずしも問われないのが実情です。
資格の有無だけで判断せず、管理体制や記録の有無もあわせて確認しましょう。
既存建物の吹き付けウレタン断熱を点検・補修する方法

すでに吹き付けウレタン断熱が施工された建物では、劣化の有無を点検し、必要に応じて補修を検討します。ここでは、点検・補修の進め方を紹介します。
|
▼既存建物の吹き付けウレタン断熱を点検・補修する方法
|
劣化を疑うべきサイン
既存建物の吹き付けウレタン断熱の劣化を疑うサインには、室内環境の変化と、目に見える異常の2つがあります。壁の中は見えないため、日常の変化から気づくことが大切です。
主なサインは、次のとおりです。
- 暖房や冷房が効きにくくなった
- 光熱費が以前より増えた
- 壁や窓の周りに、結露やカビが発生する
- 壁の一部が、冷たく感じる
- 壁や天井に、シミや変色が出ている
- 小屋裏や床下で、断熱材の剥がれや落下が見られる
一つでも当てはまる場合は、断熱材の状態を確認すべきです。
吹き付けウレタン断熱の点検方法
吹き付けウレタン断熱の点検は、目視で確認できる範囲と、専門的な調査を組み合わせて行います。壁の中の状態は、外から見えにくいためです。
主な点検方法は、次のとおりです。
|
点検方法 |
内容 |
向いている場面 |
|
目視点検 |
小屋裏や床下、点検口から、断熱材の状態を確認する |
剥がれや隙間、変色の有無を確認したい |
|
サーモグラフィ調査 |
赤外線カメラで、壁の表面温度のムラを確認する |
断熱の欠損が疑われる箇所を探したい |
|
気密測定 |
建物全体の気密性能を数値で確認する |
隙間風や気密の低下が気になる |
|
部分的な開口調査 |
壁の一部を開けて、内部の状態を確認する |
壁内結露や断熱材の状態を詳しく調べたい |
まずは目視で確認できる範囲から始め、必要に応じて専門業者に調査を依頼しましょう。
部分補修で済むケース・再施工が必要なケース
補修の範囲は、劣化の程度と原因によって変わります。調査で原因を特定してから、補修の方法を決めることが大切です。
下記の表に、部分補修で済むケース・再施工が必要なケースの目安をまとめました。
|
ケース |
状態の例 |
対応の目安 |
|
部分補修で済む場合 |
小屋裏や床下など、限られた範囲での剥がれや隙間 |
該当箇所のみ、断熱材を補修する |
|
再施工が必要な場合 |
広い範囲での収縮や剥離、厚みの不足 |
既存の断熱材を撤去し、再施工する |
|
構造体の補修も必要な場合 |
壁内結露による、木材の腐朽やカビの広がり |
原因を解消し、構造体の補修とあわせて施工する |
※上記は一般的な目安です。実際の対応は、現地調査にもとづいて決まります。
劣化の原因が、湿気や結露の場合は、断熱材だけを直しても、再発するおそれがあります。原因を解消したうえで、補修しましょう。
吹き付けウレタン断熱の劣化に関するよくある質問

最後に、吹き付けウレタン断熱の劣化に関するよくある質問2つに回答していきます。
|
▼吹き付けウレタン断熱の劣化に関するよくある質問
|
質問①|吹き付けウレタン断熱は地震で剥がれやすい?
正しく施工されていれば、地震で剥がれやすいとは言えません。
ただし、接着が不十分な箇所は、影響を受ける場合があります。吹き付けウレタン断熱は、現場で発泡し、構造体に隙間なく密着する断熱材です。木材の伸縮に追従する特徴もあります。
一方で、下地に汚れや油、水分が残っていると、接着が弱くなります。フォームライトSLの認定施工店は1棟ずつ必ず施工前に現場確認を行い、適切なウレタンフォームが形成するのが難しいと判断した場合、正しいフォームが形成される状態になるように工務店様と調整を行う品質管理を徹底しております。
施工大きな地震のあとや気になる点がある場合は、小屋裏や床下などで、断熱材の状態を確認しましょう。
※フォームライトSLシリーズも耐震及び地震に対しての耐久性試験を実施しており、
住宅の安全限界では剝がれることなく、追従性を保って躯体に接着していることを
実証実験しております。
質問②|劣化した吹き付けウレタン断熱は補修・交換できる?
補修や再施工ができる場合があります。
ただし、劣化の程度と原因によって、対応は変わります。限られた範囲の剥がれや隙間であれば、該当箇所の補修で済むことがあります。
広い範囲で劣化している場合や、壁内結露で構造体に影響が出ている場合は、再施工や構造体の補修が必要になります。まずは専門業者に調査を依頼し、劣化の原因と範囲を特定してもらいましょう。
まとめ

本記事では、吹き付けウレタン断熱の経年劣化について解説しました。
吹き付けウレタン断熱の耐用年数は、使用条件や施工の品質によって変わります。壁の中に充填される断熱材は、日光や物理的な力の影響を受けにくい環境にあります。
劣化の主な原因は、発泡ガスの置換、施工条件、湿気や内部結露、建物の動きです。
劣化のリスクを抑えるには、建物に合った種類を選び、厚み測定と気密測定で施工品質を記録に残し、品質管理体制の整った施工業者・製品を選ぶことが大切です。既存の建物では、劣化のサインを見逃さず、早めに点検しましょう。



