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断熱等級 2026.5.29

HEAT20とは?G1・G2・G3の基準を紹介|ZEH・断熱等級との違いも解説

HEAT20とは?

HEAT20とは、「一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」の略称です。

快適性・省エネ性・耐久性に優れた住宅の普及を目的に、断熱性能や住宅設計に関する基準づくりや研究をしている団体です。近年では、HEAT20が策定した高断熱住宅の性能基準を指すケースも増えています。

本記事では、HEAT20の基本的な定義から、G1・G2・G3といったグレードの違い、断熱等級やZEHとの関係性について解説します。また、水準を満たすメリットや設計時の注意点まで紹介するので、ぜひ最後までお読みください。

▼この記事でわかる内容

  • HEAT20とは?
  • HEAT20 G1・G2・G3の違いを比較
  • HEAT20水準の住宅にするメリット
  • HEAT20住宅の注意点
  • HEAT20基準をクリアするためのポイント
  • HEAT20に関するよくある質問

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HEAT20とは?

HEAT20とは?

HEAT20とは、住まいの温熱環境を向上させるために設立された民間団体、およびその基準を指します。施主の健康や快適性を守るだけでなく、住宅会社のブランディングにおいても今や欠かせない指標です。

本章では、HEAT20が注目される背景や、既存の基準との違いを解説します。

▼HEAT20とは?

  • HEAT20が注目される理由
  • 断熱等級との違い
  • ZEHとの違いを比較

参照:HEAT20 一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会

HEAT20が注目される理由

近年、住宅業界においてHEAT20の基準を満たす家づくりが急速に普及しています。その背景には、法改正による断熱への関心の高まりと、急激な光熱費の高騰があります。

2025年4月より、すべての新築住宅において省エネ基準への適合が義務化されることになりました。省エネ基準の適合化に伴い、住宅業界では断熱性能を重視した家づくりがより一層進んでいます。

また、従来の低い断熱基準では冷暖房を常に稼働させる必要があり、生活者の経済的な負担が見過ごせない状況です。電気代が上がり続ける昨今、施主は「初期費用がかかっても燃費の良い家」を求める傾向が強まりました。

だからこそ、単に法基準を満たすだけでなく、より快適で省エネ性の高い住環境を目指す指標として、HEAT20が注目されています。

断熱等級との違い

HEAT20と断熱等級の大きな違いは、性能を測る「評価軸」です。

断熱等級は、UA値(熱の逃げにくさ)に重きを置くのに対し、HEAT20は「冬場に実際の室内が何度になるか」という最低室温をベースにしています。

項目

断熱等級

HEAT20

指標の性質

建物の性能

室内の快適性・健康(体感温度)

主な評価軸

熱の逃げにくさ(UA値)

冬の室内における「最低室温」

策定元

国土交通省

民間団体

最高水準

等級7

G3グレード

2つの基準のレベル感を比較すると、概ね以下のようになります。

  • HEAT20 G1 ≒ 断熱等級5(ZEH基準レベル)
  • HEAT20 G2 ≒ 断熱等級6(現在の高性能住宅のスタンダード)
  • HEAT20 G3 ≒ 断熱等級7(国内最高峰レベル)

※評価の算出方法が異なるため、完全に一致するわけではありません。

実際に、断熱等性能等級6・7はHEAT20の考え方を参考に整備されたとされており、高断熱住宅の目安として近い位置づけにあります。このことからも、HEAT20は、高断熱住宅を検討する際の代表的な指標のひとつと言えます。

ZEHとの違いを比較

ZEHとHEAT20は、どちらも省エネ住宅の指標ですが、重視するポイントが異なります。

一言で言えば、ZEHは「住宅全体のエネルギー収支を重視する考え方」、HEAT20は「住宅そのものの断熱性能や室内の快適性」を重視する指標です。

まずZEHは、高い断熱性能に加え、省エネ設備や太陽光発電を組み合わせて、年間のエネルギー消費量を実質ゼロに近づけることを目指しています。つまり、エネルギーを「使わない工夫」と「創り出す工夫」を組み合わせて、省エネ性を高める考え方です。

一方でHEAT20は、設備によるエネルギー削減だけでなく、建物の外皮の性能向上によって、室内温熱環境の改善を目指す基準です。高い断熱性能によって室内の温度変化を抑えやすくなり、冷暖房負荷の低減や快適性の向上が期待できます。

特に冬場の温度差を小さくし、居住空間の質を高める考え方として注目されています。

ZEH水準については、以下の記事で詳しく解説しているので、合わせてご参照ください。

>>ZEH水準とは?ZEHとの違いや活用できる補助金・控除について解説

HEAT20 G1・G2・G3の違いを比較

HEAT20 G1・G2・G3の違いを比較

HEAT20が提唱する「G1・G2・G3」の違いは、実際の暮らしにおける「冬の最低室温(体感・健康)」と「暖房費の削減率(省エネ)」2つの基準で分けられています。

東京や大阪など一般的な地域(6地域)を例にすると、各グレードの違いは以下の通りです。

  • G1(入門レベル:最低室温10℃)
  • G2(推奨レベル:最低室温13℃)
  • G3(最高峰レベル:最低室温15℃)

 

G1は、暖房のない廊下やトイレでも極端な底冷えや結露を防ぎ、住む人の健康を最低限守る水準です。平成28年省エネ基準住宅と比較して、暖房負荷を約40%削減する目安とされています。

G2は、家の中の温度差が小さくなり、ヒートショックのリスクを軽減します。最大のメリットは、家全体を比較的少ない暖房負荷で快適な温熱環境に保ちやすくなる点です。

G3は、真冬でもごくわずかな暖房で快適に過ごせる究極の断熱水準です。圧倒的な快適性を誇りますが、建築コストも跳ね上がります。

参照:HEAT「冬期の性能水準の提案」

HEAT20水準の住宅にするメリット

HEAT20水準の住宅にするメリット

ここでは、HEAT20水準の住宅にするメリットを3つ紹介します。

▼HEAT20水準の住宅にするメリット

  • メリット①|一年中快適な室温を保てる
  • メリット②|光熱費を削減できる
  • メリット③|結露による劣化を防げる

メリット①|一年中快適な室温を保てる

HEAT20水準の住宅は、冬場はもちろんのこと、一年を通して快適な室温を維持できる点が最大の強みです。優れた断熱性能により、外気の影響を減らし、室内の熱を逃がさない構造になるからです。

HEAT20というと「冬の暖かさ」ばかりが注目されがちですが、実は「夏の涼しさ」にも貢献します。冬は少しの暖房で家全体が暖まり、就寝時に暖房を消しても翌朝の底冷えがありません。

一方、夏は猛烈な外の熱気を遮断するため、冷房の効きが格段に良くなります。また、リビングと廊下、トイレや脱衣所といった空間ごとの温度差も少なくなり、家中のどこにいても均一な温熱環境が得られます。

メリット②|光熱費を削減できる

HEAT20水準の住宅は断熱性能が高く、冷暖房効率が向上するため、日々の光熱費を抑えやすくなります。一度適温に達すれば、微弱運転だけで快適な室温を維持できます。

実際に、断熱等級4の住宅と比較した場合、年間の冷暖房費を数万円単位で削減できるケースも珍しくありません。

昨今の電気代高騰に不安を抱える施主に対し、高断熱・高省エネ住宅の提案は、住宅ローンを含めた生涯コストの負担を減らす安心材料となります。

メリット③|結露による劣化を防げる

断熱性能を高めることで、結露の発生を抑えやすくなり、建物の劣化リスクの軽減につながります。

カビやダニを抑制できるのはもちろんですが、特に注意すべきなのは目に見えない「壁体内結露」です。壁の中で起こる結露は、柱や土台などの構造材を腐らせ、家の寿命を縮めてしまいます。

この現象を防ぐためには、断熱性能に加えて「断熱材を隙間なく密着させる施工」による高い気密性が欠かせません。例えば、「フォームライトSL」のような吹き付け断熱であれば、複雑な形状でも隙間なく充填することが可能です。

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HEAT20住宅の注意点

HEAT20住宅の注意点

ここでは、HEAT20住宅を検討・建築する際の主な注意点を3つ解説します。

▼HEAT20住宅の注意点

  • 注意点①|建築費用が高くなる
  • 注意点②|地域によっては「過剰性能」になる可能性がある
  • 注意点③|施工会社の技術力によって性能に差が出やすい

注意点①|建築費用が高くなる

HEAT20水準の住宅は、一般的な基準の家と比べて初期費用が高額になりがちです。目標とする断熱性能をクリアするためには、高性能サッシや厚みのある断熱材の採用が不可欠だからです。

例えば、従来の最低ラインである断熱等級4からG2やG3レベルへ引き上げる場合、数十万円から数百万円のコストアップが想定されます。しかし、住み始めてからの光熱費削減効果により、数十年単位の長期スパンで見ればトータルコストは相殺されるケースがほとんどでしょう。

さらに、今後の省エネ基準引き上げを見据えれば、高断熱への投資が将来の資産価値を守ることにもつながります。そのため、生涯コストや将来的な家の価値まで含めた長期的なメリットを施主へ伝えることが欠かせません。

注意点②|地域によっては「過剰性能」になる可能性がある

建設予定のエリアによっては、最高グレードを目指すことがかえって「過剰性能」となり、コストパフォーマンスを悪化させる恐れがあります。HEAT20の基準は、気候に合わせて全国を8つの地域に分けて設定されているからです。

東京や大阪などの比較的温暖な「6地域」において、北海道レベルの厳しいG3グレードを無理に追求しようとすると、建築費用は跳ね上がります。

オーバースペックな仕様により施主の予算を大きく圧迫し、設備や間取りなど他の要望を諦めざるを得ない状況に陥るかもしれません。

そのため、闇雲にトップの数値を追うべきではありません。地域特性を考慮し、費用対効果が最も高くなる「G2」など、生活に必要十分なグレードを見極めて提案しましょう。

注意点③|施工会社の技術力によって性能に差が出やすい

優れたスペックの断熱材を採用しても、施工する現場の技術力が伴わなければ、HEAT20本来の高い性能が発揮されません。設計上の計算数値(UA値)が優秀でも、実際の施工で隙間が生じれば、そこから熱が逃げてしまうためです。

施工不良によるわずかな隙間は、断熱効果を低下させるにとどまりません。「壁体内結露」を引き起こし、柱や土台を腐らせて家の寿命を縮める致命的なリスクになり得ます。

高性能な家づくりほど、現場での精密な施工精度が問われるのです。複雑な構造でも隙間なく充填できる技術力と、信頼できる断熱材や工法を慎重に選定しましょう。

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HEAT20基準をクリアするためのポイント

HEAT20基準をクリアするためのポイント

ここでは、HEAT20基準をクリアするために不可欠な3つのポイントを解説します。

▼HEAT20基準をクリアするためのポイント

  • ポイント①|「地域区分」と「目標グレード」を確定する
  • ポイント②|UA値だけでなく住宅シナリオを満たす
  • ポイント③|窓・サッシを含めた外皮性能を高める

ポイント①|「地域区分」と「目標グレード」を確定する

HEAT20基準の家づくりを進めるにあたり、まずは建築予定地の「地域区分」と、目指すべき「目標グレード」を設定しなければなりません。HEAT20は全国一律の基準ではなく、気候条件に応じた8つの地域ごとにクリアすべき数値が異なるからです。

例えば同じ「G2」を目指す場合でも、北海道(1地域)と東京(6地域)では求められる断熱材の厚みや窓の仕様が変わります。計画地がどの地域に該当するのかを把握せずに設計を進めると、性能不足に陥るか、逆に過剰なコストをかけてしまう恐れがあります。

そのため、まずは地域を特定し、施主の予算や要望に合わせてG1〜G3のどれを狙うのか、ゴールを定めるプロセスが不可欠です。

ポイント②|UA値だけでなく住宅シナリオを満たす

HEAT20の基準をクリアするためには、計算上のUA値だけで判断せず、「住宅シナリオ」を満たす設計が必要です。HEAT20においてUA値はあくまで達成のための目安であり、真の目的は「冬の室内における温熱環境」と「省エネ効果」を両立させることです。

住宅シナリオとは、室温や暖房負荷など、実際の暮らしを想定して住宅性能を評価するための基準です。

仮にUA値だけがG2の数値をクリアしていても、極端に日当たりの悪い間取りなどでシナリオの室温条件を下回ってしまえば、HEAT20が求める性能には届きません。

建つ場所の環境や日射取得も含めて、生活者が実感できる快適性を設計に落とし込みましょう。

ポイント③|窓・サッシを含めた外皮性能を高める

HEAT20が規定する高い断熱水準を実現するには、壁や屋根だけでなく「窓やサッシ」の性能を引き上げることが不可欠です。住宅では開口部からの熱移動の影響が大きく、窓の性能が断熱性能全体を左右しやすいためです。

冬場に室内から逃げる熱のうち、およそ半分は窓から流出すると言われています。そのため、いくら壁の中に高性能な断熱材を分厚く詰め込んでも、一般的なアルミサッシやペアガラスのままでは建物全体の性能は上がりません。

特にG2やG3といった上位グレードを目指す場合は、樹脂サッシと高断熱ガラスを組み合わせるなど、開口部材の強化が必須です。壁面の断熱強化とセットで、窓周りの熱損失を最小限に抑える工夫を取り入れましょう。

HEAT20に関するよくある質問

HEAT20に関するよくある質問

ここでは、HEAT20に関するよくある質問2つに回答していきます。

▼HEAT20に関するよくある質問

  • 質問①|HEAT20 G2は断熱等級6に相当しますか?
  • 質問②|HEAT20対応で活用できる補助金はありますか?

質問①|HEAT20 G2は断熱等級6に相当しますか?

HEAT20のG2と断熱等性能等級6は、求められる外皮性能の数値において概ね相当しますが、定義や考え方は完全に同一ではありません。

一般的には、断熱等性能等級6はHEAT20のG2に近い水準として整理されることがあります。ただし、断熱等級は主にUA値などの外皮性能によって評価する制度であり、HEAT20のように室温環境そのものを基準化しているわけではありません。

一方でHEAT20のG2は、その数値を満たしたうえで「冬の最低室温を一定以上に保つ」という住宅シナリオの達成を目的として掲げています。

質問②|HEAT20対応で活用できる補助金はありますか?

HEAT20のG2水準を目指した高性能住宅では、住宅性能によっては国の補助金制度を活用できる可能性があります。

例えば、「みらいエコ住宅2026事業」では、高い省エネ性能を備えたGX志向型住宅を対象とした補助制度が設けられています。GX志向型住宅は、断熱等級6以上に加え、住宅全体の省エネ性能も満たす必要がある住宅です。

HEAT20のG2は、断熱性能の水準として断熱等級6と近いレベルで語られることがありますが、HEAT20 G2を満たすだけで補助対象になるわけではありません。実際の適用可否は、住宅全体の仕様や補助制度の要件を確認しましょう。

まとめ

まとめ

本記事では、これからの家づくりにおいてスタンダードとなる「HEAT20」について詳しく解説しました。国の断熱等級を上回る快適性を追求するHEAT20は、光熱費の削減や結露防止など、施主の暮らしを豊かにする数多くのメリットをもたらします。

一方で、HEAT20の基準を満たすには、地域ごとの基準を把握することに加えて、気密・断熱施工を支える高い技術力も不可欠です。自社の住まいの価値をさらに高め、競争力を強化するためにも、ぜひ本記事の内容を営業活動に活かしてください。

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