
断熱材選びで「EPS断熱材」という名前を目にしたものの、具体的にどんな特徴があるのかわからずお困りではありませんか?
結論、EPS断熱材は一般的に「発泡スチロール」として知られ、水や湿気に強く、コストと性能のバランスに優れた断熱材です。
本記事では、EPS断熱材の基本からメリット・デメリット、気になる価格相場までを徹底解説します。記事の後半では、他の断熱材との違いやEPS断熱材が適しているケース・適していないケースまで紹介します。
後悔のない断熱材選びをしたい方は、ぜひ最後までお読みください。
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▼この記事でわかること
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フォームライトSLは、現場で発泡させて隙間を埋める「現場発泡ウレタンフォーム」です。
液体が発泡して構造材に密着するため、板状の断熱材では生じやすい「わずかな隙間」も作らず、高気密・高断熱の空間を実現します。
断熱材選びで迷われている方は、ぜひ詳細が記載されたカタログをダウンロードしてみてください。
目次
- 1 EPS断熱材とは?
- 2 EPS断熱材のメリット3選
- 3 メリット①|水と湿気に強い
- 4 メリット②|断熱性能に優れている
- 5 メリット③|施工ミスが起きにくい
- 6 EPS断熱材の3つのデメリット
- 7 デメリット①|シロアリの「通り道」になりやすい
- 8 デメリット②|熱に弱く、燃えやすい
- 9 デメリット③|高性能な断熱材に比べると厚みが必要
- 10 EPS断熱材の価格相場
- 11 EPSと他の断熱材との違いを解説
- 12 断熱材①|XPS(スタイロフォーム)
- 13 断熱材②|フェノールフォーム
- 14 断熱材③|硬質ウレタンフォーム
- 15 EPS断熱材が向いているケース
- 16 ケース①|床下の断熱に使用するケース
- 17 ケース②|ユニットバス下部に使用するケース
- 18 EPS断熱材が向いていないケース
- 19 ケース①|防音性能を重視する場合
- 20 ケース②|壁を薄くしたい場合
- 21 まとめ
EPS断熱材とは?

EPS断熱材とは、「ビーズ法ポリスチレンフォーム」という正式名称を持つ、発泡プラスチック系の断熱材です。「Expanded Poly-Styrene」の頭文字を取ってEPSと呼ばれます。
イメージしやすい例を挙げると、魚の輸送箱や保冷容器などで見かける「発泡スチロール」とほぼ同じ素材です。小さな樹脂の粒を金型に入れ、熱で膨らませて成形することで、内部に無数の独立した空気の層を作り出しています。
この閉じ込められた空気が熱の移動を防ぐため、優れた断熱性能を発揮するのが特徴です。軽くて水に強く、耐久性とのバランスも良いため、住宅用の断熱材として長年定番の選択肢となっています。
EPS断熱材のメリット3選

EPS断熱材のメリットについて確認していきましょう。
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▼EPS断熱材のメリット3選
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メリット①|水と湿気に強い
EPS断熱材の最大の強みは、雨水や結露といった水分による劣化が極めて少ないことです。
EPSは独立した気泡の中に空気を閉じ込める構造のため、水をほとんど吸い込みません。
南極の昭和基地でもEPS断熱材が採用されており、建設から40年経過しても断熱性能の劣化がほとんど見られなかったデータも存在します。
湿気の多い日本においても、新築時の性能を長期にわたって維持できる信頼性の高い素材です。
メリット②|断熱性能に優れている
EPS断熱材は、素材そのものが熱を伝えにくい性質を持っており、優れた断熱性能を発揮します。その秘密は、体積の約98%が「空気」で構成されている点にあります。
無数の独立した気泡内の空気をプラスチック樹脂の膜が包み込み、空気の対流を止めることで、熱の移動を効果的にブロックしているのです。
一般的なEPSの熱伝導率は0.034〜0.040W/(m·K)程度と優秀な数値を誇ります。熱伝導率は、物質がどれだけ熱を通しやすいかを示す指標です。数値が高いほど熱が伝わりやすく、低いほど熱を伝えにくいことを意味します。
外の暑さや寒さの影響を受けにくくなるため、少ないエネルギーで快適な室温環境を維持できます。
メリット③|施工ミスが起きにくい
現場での施工が容易であり、職人の技術差による「施工ミス」が起きにくい点も大きな魅力です。EPSはカッターや熱線で簡単にカットできるため、施工箇所のサイズに合わせて現場で微調整が可能です。
あえて少し大きめにカットして柱の間に押し込むことで、自らの弾力で密着し、断熱欠損となる隙間を防げます。
また、素材自体が軽量であるため、高所作業などでも職人への負担が少なく、常に安定した施工精度が期待できます。誰が施工しても隙間なく充填しやすい点は、住宅の性能を担保する上で重要な要素です。
EPS断熱材の3つのデメリット

ここまでEPS断熱材のメリットを紹介してきましたが、もちろん完璧な素材ではありません。
ここからは、断熱材を選定する前に知っておくべき3つのデメリットについて解説していきます。
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▼EPS断熱材の3つのデメリット
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デメリット①|シロアリの「通り道」になりやすい
EPS断熱材を採用する際、最も警戒すべきなのがシロアリ被害です。EPS断熱材は、材質が柔らかく、常に適度な温度が保たれているため、シロアリにとって活動しやすい環境となってしまいます。
その結果、EPS断熱材を食い破ってトンネル状の「通り道」を作り、家を支える土台の木材まで到達してしまう恐れがあります。
特に、地面に近い「基礎断熱」にEPSを使用する場合は注意が必要です。薬剤を練り込んだ「防蟻EPS断熱材」を採用するか、ステンレスメッシュなどの物理的なバリアを設置して侵入経路を断つことが強く推奨されます。
デメリット②|熱に弱く、燃えやすい
EPS断熱材の主成分はポリスチレン、つまりプラスチックの一種であるため、熱に弱いという性質は避けられません。製品にもよりますが、一般的に約80℃以上の高温になると軟化や変形、最悪の場合は溶解する恐れがあります。
そのため、高温になりやすい浴室暖房乾燥機の周辺や、サウナ室などの断熱には不向きです。
また、火災時の安全性についても考慮が必要です。EPS断熱材は火がつくと燃焼しやすく、黒煙を上げて燃え広がる性質があります。
現在では難燃剤を添加して燃え広がりにくくした製品が一般的ですが、あくまで「燃えにくい」だけであり、不燃材料ではありません。防火地域などで使用する場合は、不燃材である石膏ボードで覆うなど、建築基準法に基づいた適切な対策が求められます。
デメリット③|高性能な断熱材に比べると厚みが必要
より高い断熱性能を求める場合、EPS断熱材は他の高性能断熱材に比べて「厚み」が必要になる点がネックとなります。EPS断熱材の熱伝導率が低いとはいえ、より低い数値を持つ断熱材も存在するため、同等の断熱性能を得るには厚さで補う必要があるからです。
例えば、断熱性能が高いフェノールフォームと同等の効果を得るには、熱伝導率の差により、EPSは1.5〜2倍の厚みが必要です。
敷地が狭く壁を薄く仕上げたい場合やリフォームで既存の壁厚が決まっているケースでは、この厚みが大きな制約になります。
十分な厚さを確保できないと、目指している断熱等級をクリアできなくなる可能性があります。そのため、設計段階で「必要な断熱性能」と「確保できる壁の厚み」のバランスを慎重に検討しましょう。
EPS断熱材の価格相場

EPS断熱材は、断熱材全体の中で見ると「中間よりやや安い」価格帯に位置しています。
材料のみの価格相場は、厚みや性能グレードによって幅がありますが、1平方メートルあたりおよそ1,000円〜1,500円程度が目安です。最も安価なグラスウールと比較すると費用は上がりますが、フェノールフォームなどの高性能断熱材よりはコストを抑えられます。
ただし、外壁の仕上げ下地を兼ねる特殊な工法を採用する場合は、高額になるケースもあります。あくまで目安とし、正確な金額は施工会社への見積もりで確認しましょう。
EPSと他の断熱材との違いを解説

断熱材にはEPS以外にもさまざまな種類があります。最適な断熱材は、予算や重視するポイントによって変わるため、EPSと他の断熱材の違いを理解しておきましょう。
それぞれの特徴を比較しながら解説します。
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▼EPSと他の断熱材との違いを解説
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断熱材①|XPS(スタイロフォーム)
XPSは、EPSとよく似た性質を持つ断熱材ですが、決定的な違いは「硬さ」と「製法」にあります。原料はEPS断熱材と同じ「ポリスチレン樹脂」です。
しかし、EPSが小さな粒を金型で膨らませて接着させた集合体であるのに対し、XPSは溶かした樹脂を機械から押し出して板状に成形しています。
「スタイロフォーム」という商品名で知られる水色の板が代表的です。
一般に用途・製品グレードにより圧縮特性や吸水性などが異なるため、床や基礎などでは要求性能に応じてXPS/EPSを選定します。
断熱材②|フェノールフォーム
EPS断熱材よりもさらに高性能となるのがフェノールフォームです。最大の違いは、トップクラスの「断熱性能」と「防火性能」にあります。
EPS断熱材の約1.5倍から2倍近い断熱性能を誇り、同じ厚さなら圧倒的に涼しく暖かい家を作ることが可能です。
また、熱への強さも別格です。EPSは火に触れると溶けてしまいますが、フェノール樹脂は火に当たると炭化しやすい性質が示されています。
万が一の火災時にも燃え広がりにくく、有毒ガスも発生しにくい安全性の高さが魅力です。
ただし、その分価格はEPS断熱材の倍以上するケースもある点は理解しておきましょう。
フェノールフォームでおすすめなのは、旭化成建材のネオマ®︎フォームとフクビ化学工業のフェノバボードです。ぜひチェックしてみてください。
なお、弊社の「フォームライトLS」と旭化成建材の「ネオマフォーム」を組み合わせたハイブリッド工法も対応しています。
>>フォームライトSL×ネオマフォームのハイブリッド工法はこちら
断熱材③|硬質ウレタンフォーム
硬質ウレタンフォームは、ボード状の製品もありますが、EPSとの最大の違いは「現場発泡(吹き付け)タイプ」が選べる点です。
現場発泡ウレタンは、専門業者が壁や天井に直接スプレーすることで、液体がモコモコと膨らみ、瞬時に断熱材へと変化します。どんな隙間も埋め尽くして密着するため、極めて高い気密性を確保できるのが強みです。
「気密性能」にこだわりたい方にとって硬質ウレタンフォームは、EPSよりも適した選択肢と言えます。
なお、断熱仕様の一例として、アキレス株式会社の「キュワンボード」と弊社の「フォームライトSL」のハイブリッド工法もあります。
>>フォームライトSL×キュワンボードのハイブリッド工法はこちら
「隙間のない高気密な家」を重視するなら、現場発泡ウレタンの「フォームライトSL」を検討してみてください。
水発泡(ノンフロン)の安全なフォームが、EPSなどの板状断熱材では埋めにくい配管周りや筋交いの隙間にもピタリと密着。断熱と気密工事を同時に行えるため、工期も短縮可能です。
「性能もコストも妥協したくない」という方は、ぜひカタログで詳細なスペックをチェックしてみましょう。
EPS断熱材が向いているケース

ここでは、プロの視点から見てEPSを積極的に採用すべき2つの具体的なシーンを紹介します。
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▼EPS断熱材が向いているケース
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ケース①|床下の断熱に使用するケース
床下は地面からの湿気が常に上がってくる過酷な環境ですが、ここにこそEPS断熱材を採用すべきです。最大の理由は、繊維系断熱材で起こりがちな「湿気によるカビ・劣化」と「重力による垂れ下がり」という2つのリスクを回避できるからです。
グラスウールなどは湿気を吸うと重くなり、最悪の場合は床下へ脱落して断熱欠損を起こす恐れがあります。
しかし、EPS断熱材は水を吸わず軽量なため、長期間その場に留まり続けます。万が一、大雨で床下浸水などの災害に遭ったとしても、洗浄して乾燥させれば断熱性能が復活するケースもあるほどです。
普段目に見えない場所だからこそ、環境変化に強い素材を選ぶことが、将来的なメンテナンスコストの削減につながります。
ケース②|ユニットバス下部に使用するケース
ユニットバスを設置する基礎部分の断熱にもEPSは最適です。ユニットバスには、数百キロにも及ぶ重さがかかりますが、EPS断熱材なら、その重量に耐えうる十分な「圧縮強度」を持っています。
万が一配管から水漏れしたり、土間コンクリートから強い湿気が上がってきたりしても、素材自体が劣化しません。水回りの床下という、湿気と重さが同時にかかる特殊な環境において、これほど理にかなった素材は他にないと言えます。
EPS断熱材が向いていないケース

ここまでEPS断熱材の強みを紹介してきましたが、すべての要望に対して万能というわけではありません。
建物の構造や、居住者が何を最優先するかによっては、EPSを選ぶことでかえってデメリットが大きくなることもあります。ここからは、EPS断熱材が向いていない2つのケースを見ていきましょう。
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▼EPS断熱材が向いていないケース
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ケース①|防音性能を重視する場合
静かな室内環境を何よりも優先したい場合、EPS断熱材はあまり適していません。理由はシンプルで、EPS断熱材があまりにも「軽すぎる」からです。
音を遮るには、ある程度の「重さ」が必要ですが、空気の塊であるEPSは音を跳ね返す力が弱く、そのまま透過させてしまう傾向があります。特に、ピアノ室やホームシアターを作りたい、あるいは交通量の多い道路沿いに家を建てる場合は注意が必要です。
吸音性を期待するのであれば、繊維の密度が高く音を吸収してくれる断熱材を選びましょう。「ロックウール」や「セルロースファイバー」などです。
断熱性能だけでなく、ライフスタイルに合わせた「遮音性」も考慮して素材を選ぶことが大切です。
ケース②|壁を薄くしたい場合
都心部の狭小住宅などで、「部屋の広さを1cmでも確保したい」というニーズがある場合、EPS断熱材は不向きなケースがあります。超高性能な住宅をEPSで実現しようとすると、他の高性能断熱材に比べて壁の厚みが増してしまうからです。
必要な断熱性能を確保するために壁を分厚くすれば、その分だけ室内空間は圧迫され、部屋が狭くなってしまいます。限られた敷地の中で、最高レベルの断熱性を手に入れたいのであれば、高性能な「硬質ウレタンフォーム」を検討すべきです。
特に、おすすめなのは、現場発泡ウレタンである「フォームライトSL」です。薄い層でも高い断熱効果を発揮するだけでなく、壁の中の配管周りなどの複雑な形状にも隙間なく充填可能です。
「壁を薄くして部屋を広く保ちたい」「でも断熱性能は最高ランクを目指したい」という方はぜひ、チェックしてみてください。
まとめ

EPS断熱材は、水や湿気に強く、コストパフォーマンスに優れた優秀な断熱材です。長期間性能が劣化しにくいため、特に湿気が溜まりやすい床下やユニットバス周りの断熱には最適解の一つと言えます。
一方で、熱に弱くシロアリ対策が必須である点や高断熱を目指すと壁が厚くなるデメリットも無視できません。
もし「壁を薄くして部屋を広くしたい」「隙間なく施工して気密性を高めたい」とお考えなら、現場発泡ウレタンの「フォームライトSL」がおすすめです。
マシュマロのように膨らんで細部まで密着するため、EPSでは難しい複雑な形状も隙間なく断熱できます。断熱等級7対応の高性能とコストのバランスも優秀です。
失敗しない断熱材選びのために、ぜひカタログをダウンロードして詳細をご確認ください。



