
2025年4月の省エネ基準適合義務化により、住宅性能の可視化が求められるようになりました。その中でも、住宅の断熱性能を示す「断熱等級」は、住宅会社・工務店が施主へ性能を説明するうえで欠かせない指標です。
本記事では、断熱等級1〜7の具体的な違いから、UA値やηAC値といった評価指標、そして今後目指すべき推奨等級までを網羅的に解説しています。
最新の基準と2030年を見据えたロードマップを正しく理解し、施主への説得力ある提案や、自社の標準仕様の見直しにぜひお役立てください。
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▼この記事でわかる内容
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断熱等級の向上には「隙間のない確実な断熱施工」が不可欠です。
現場発泡ウレタンフォームのフォームライトSLなら、複雑な構造でも高い気密性と断熱性を同時に確保でき、設計通りの性能を発揮します。自社の住宅性能を底上げし、施主へ自信を持って提案したい住宅事業者の皆様は、ぜひ最新カタログをご覧ください。
断熱等級(断熱等性能等級)とは

断熱等級(正式名称:断熱等性能等級)は、品確法に基づく住宅性能表示制度のなかで、住宅の断熱性能を評価するための指標です。等級1から等級7までの7段階で表され、数字が大きいほど断熱性能が高いことを示します。
評価の対象は、外皮の断熱性能(UA値)、夏の日差しをどれだけ遮れるかを示す日射遮蔽性能(ηAC値)、さらに結露の抑制といった項目です。これらを総合して等級が決まるため、断熱等級を確認すれば、その住宅がどの程度の温熱環境性能を備えているかを客観的に把握できます。
2022年に等級5・6・7が新設された背景
2022年に上位等級が新設された理由は、日本の「2050年カーボンニュートラル(脱炭素社会)」実現に向け、住宅の省エネ性能を引き上げる必要があったからです。
長らく最高等級とされてきた「等級4」は、平成11年(1999年)に定められた古い基準でした。世界的に環境配慮への要求が高まる中、従来の基準のままでは地球温暖化対策として不十分だったのです。
そこで国は、省エネ基準の強化を進めました。2022年4月にZEH水準に相当する「等級5」を新設し、同年10月には、HEAT20のG2・G3水準に相当する「等級6・7」を追加しました。
上位等級が整備された現在、住宅の断熱性能は単なる「快適性の追求」から、地球環境を守る「社会的責任」へと意味合いが変化しています。
2025年の省エネ義務化と今後の動向

ここからは、2025年の省エネ義務化と今後の動向について詳しく解説していきます。
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▼2025年の省エネ義務化と今後の動向
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2025年4月|全新築で等級4が義務化
建築物省エネ法の改正により、原則としてすべての新築住宅に断熱等級4以上への適合が義務化されました。これまでは努力義務にとどまっていた省エネ基準ですが、今後は基準を満たさなければ建築許可が下りず、家を建てられません。
これまでの日本の新築住宅は、断熱性能が低いまま建築されるケースが少なくありませんでした。しかし、家庭部門のCO2削減を確実にするため、ついに法的な強制力を持つ最低基準が設定されたのです。
住宅事業者としては、この水準をクリアしたうえでいかに付加価値を出すかが問われています。
2030年|等級5(ZEH水準)が最低基準に
2030年までに、新築住宅の省エネ基準はさらに引き上げられ、断熱等級5(ZEH水準)が義務化される予定です。国が「2030年以降に新築される住宅についてZEH基準の省エネ性能の確保を目指す」というロードマップを明確に打ち出しています。
現在の義務化基準である等級4のままでは、数年後には「既存不適格」のような扱いになり、資産価値が大きく目減りするリスクがあります。そのため、これから家を建てる施主に対しては、2030年の基準を見据えた住宅性能を提案することが重要です。
実務レベルでは、サッシの複合樹脂化や断熱材の厚みの変更など、設計仕様の標準化を急ぐ必要があります。
【一覧表】断熱等級1〜7の違い

断熱等級1から7までの各基準は、施行された年代や要求される性能指標が大きく異なります。ここでは、等級ごとの特徴や快適性の違いについて具体的に解説します。
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断熱等級 |
UA値基準(6地域・東京等) |
特徴 |
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1〜3 |
1.54〜(基準なし) |
・1999年以前の旧基準やその他の住宅 ・既存住宅の約9割が等級3以下とされ、現在の新築では建築不可 |
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4 |
0.87以下 |
・2025年4月から義務化された最低基準 |
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5 |
0.60以下 |
・等級4より暖冷房一次エネを約20%削減 ・遅くとも2030年までに最低基準へ引き上げ予定 |
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6 |
0.46以下 |
・暖冷房一次エネを概ね30%削減 ・冬も暖房なしで体感13℃前後を維持しやすい |
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7 |
0.26以下 |
・暖冷房一次エネを概ね40%削減 ・現行制度における住宅の最高等級 |
※UA値(外皮平均熱貫流率)とは、住宅全体から外へ逃げる熱の量を表す指標です。数値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能が高いことを意味します。
断熱等級1〜3
等級1から3は、現在の新築住宅には適用できない旧基準に基づく低い断熱レベルに該当します。2025年4月の法改正によって省エネ基準が義務化され、新築では最低でも等級4を満たすルールへと変わったからです。
国土交通省の調査では、空き家を除く住宅ストックの約9割が現行の省エネ基準(断熱等級4相当)に達していないとされています。冬場は家の中が寒く、ヒートショックなどの健康被害を引き起こすリスクも懸念される水準です。
中古物件の購入やリノベーションを検討する施主へは、最新基準を見据えた断熱改修を強く推奨すべきクラスです。
断熱等級4
断熱等級4は、2026年現在、家を建てるうえで必ず満たさなければならない最低の基準を指します。2025年4月よりすべての新築住宅で適合が義務付けられました。
6地域(東京など)におけるUA値は0.87で、冬の最低室温が13度を下回ることも多く、暖房器具の稼働が前提です。かつては高性能の証だったものの、2030年には等級5が新たな最低基準となる見込みです。
断熱等級4の仕様で建築すると、数年後には資産価値が下落するリスクを抱えることになります。断熱等級4はあくまで建築許可を得るためのスタートラインとして、施主へ丁寧に説明することが求められます。
断熱等級5
断熱等級5は、昨今の新築住宅において事実上の標準仕様とも言える、ZEH水準に相当する基準を指します。2022年4月に新設され、2030年にはすべての新築住宅でこのレベルが最低基準として義務付けられる予定です。
6地域でのUA値は0.60を求められ、等級4と比較して一次エネルギー消費量を約20%削減できる性能を持っています。暖房を効かせれば室内は十分に暖かく保てますが、窓際や足元にわずかな冷気が残るケースも少なくありません。
これからの新築では、将来的な資産価値も見据え、断熱等級5以上を標準仕様として提案することが求められます。
断熱等級6
断熱等級6は、コストと性能のバランスに優れた基準として位置づけられます。民間基準である「HEAT20 G2」に相当し、健康で快適な暮らしを現実的な予算の範囲で実現できる基準です。
2022年10月に設けられ、6地域でのUA値は0.46、一次エネルギー消費量を約30%削減する性能を備えています。真冬でも室温がおおむね13度を下回らないため、家中の温度差が少なくヒートショックのリスクを軽減できるのが魅力です。
GX志向型住宅など、手厚い補助金の交付要件としても設定されています。
HEATについては、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご参照ください。
>>HEAT20とは?G1・G2・G3の基準を紹介|ZEH・断熱等級との違いも解説
断熱等級7
断熱等級7は、現在の省エネ基準における最高水準の断熱性能を備えた等級です。「HEAT20 G3」水準に相当し、寒冷地であっても冬場の室内環境を極限まで快適に保てます。
6地域でのUA値は0.26と極めて厳しい基準が設けられており、一次エネルギー消費量を約40%も削減するスペックを持っています。真冬でも室温がおおむね15度を下回らないため、ごくわずかな冷暖房エネルギーだけで一年中快適に暮らすことが可能です。
しかし、この数値をクリアするには壁の断熱材を厚くする「付加断熱」などが必須となり、建築コストが大きく上昇してしまいます。圧倒的な性能を持つ一方で、施主の予算や建設地によってはオーバースペックになりやすいため、慎重な提案が必要な等級です。
断熱等級を決める2つの指標

住宅の断熱等級を正確に評価し、最適な性能を導き出すためには、主に2つの重要な指標を理解しておく必要があります。その指標が「UA値」と「ηAC値」です。
以下では、UA値とηAC値、それぞれの意味や役割について解説します。
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▼断熱等級を決める2つの指標
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指標①|UA値
UA値(外皮平均熱貫流率)は、室内の暖かい空気が建物の外へどれくらい逃げやすいかを表す、断熱性の要となる指標です。各部位(屋根・外壁・窓・床など)から逃げる熱量の合計を建物の外皮総面積で割って算出します。
数値が「小さいほど」熱が逃げにくく、断熱性能が優秀であることを意味します。小さい数字を目指すと考えれば施主にも直感的に伝わりやすいでしょう。
6地域を例にすると、等級4は0.87、等級5は0.60、等級6は0.46、最高等級7では0.26がクリアすべき基準値です。暖房効率を向上させるには、UA値を低く抑えることが基本です。
指標②|ηAC値
ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)は、夏場に太陽の熱がどれだけ室内に入り込みやすいかを示す、遮熱性能を測る指標です。建物の外皮全体から侵入する日射熱量の合計を、外皮総面積で割って算出します。
UA値と同じく、数値が「小さいほど」日射を遮る能力が高く、性能が優秀であることを意味します。日差しを防ぐ設計にすることで、夏の冷房にかかる一次エネルギー消費量を大幅に削減可能です。
UA値が「冬の保温(熱を逃がさない)」を目的とするなら、ηAC値は「夏の遮熱(熱を入れない)」を担う役割を持っています。年間を通じて快適な室内環境を維持するには、これら2つの指標をセットで捉え、対策を講じることが重要です。
断熱等級を上げるメリット

ここでは、断熱等級を上げることで得られる3つのメリットを解説します。
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▼断熱等級を上げるメリット
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メリット①|一年中快適で、家中の温度差がなくなる
外気の影響を最小限に抑えることで、季節を問わず家全体を快適な温度に保てます。断熱性能が向上すると、壁や床、天井の表面温度が室温に近くなり、熱の移動が少なくなるためです。
人の体感温度は、室温だけでなく、壁や窓、床など周囲の表面温度(正確には平均放射温度)の影響も大きく受けます。そのため、断熱等級が高い家では、エアコンの設定温度が控えめでも冬は暖かく、夏は涼しく感じられます。
また、リビングと廊下、1階と2階といった空間ごとの温度ムラを解消できる点も魅力です。
デザインや間取りの自由度を損なうことなく、一年中どこにいても心地よく過ごせる空間を提供できるのが大きな強みです。
メリット②|健康リスクを減らせる
断熱等級を上げることで、ヒートショックなどの健康リスクを軽減できます。室内の急激な温度変化が抑制され、身体への急な負担が軽減されるからです。
WHO(世界保健機関)は、温帯・寒冷地域において、冬季の健康維持のための室内温度として18℃以上を推奨しています。断熱性能が低い家では、暖かいリビングから冷え切った脱衣所や浴室へ移動した際に血圧が急変動し、ヒートショックを引き起こす危険性が高まります。
断熱等級を上げることで各部屋の温度差が縮まり、特に高齢者の入浴中の事故リスクを下げることが可能です。
メリット③|補助金・減税の対象になりやすい
補助金制度や減税措置を積極的に活用しやすくなるのもメリットとして挙げられます。
例えば、住宅ローン減税では、すでに省エネ基準への適合が必須要件化されています。ZEH水準(等級5)以上の高性能住宅であれば、借入限度額が引き上げられ、控除額も増える仕組みです。
さらに、認定長期優良住宅などの認定を受ければ、不動産取得税や固定資産税の優遇も受けられます。
省エネ住宅向けの各種補助金制度も、等級を基準に交付要件が設定されるケースが多く、イニシャルコストの一部をカバーすることが可能です。ただし、制度や予算は毎年変動するため、最新情報の確認は欠かせません。
断熱等級を上げる注意点

ここでは、高性能住宅を実現するうえで避けて通れない3つの注意点について解説します。
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▼断熱等級を上げる注意点
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注意点①|建築コストが上がる
断熱性能の向上に伴い、建築時の初期費用が通常よりも高額になる点は要注意です。厳しい基準をクリアするため、断熱材の厚みを増す付加断熱の施工や、断熱性能に優れた部材の導入が必須となります。
特に最高等級である等級7を目指す場合、一般的な仕様と比較して数百万円単位のコストアップが生じるケースも珍しくありません。
一方で、断熱性能の向上によって光熱費を抑えられるほか、補助金を活用できる場合もあるため、長期的には初期費用を回収できる可能性があります。そのため、初期費用だけでなく、長期的なランニングコストまで含めて総合的に判断することが大切です。
注意点②|間取り・デザインに制約が出るケースがある
高断熱を追求しすぎると、希望する間取りや外観デザインに一定の制約が生じる可能性があります。窓などの開口部は壁に比べて熱の出入りが激しいため、数値を良くしようとすると、窓を小さくするなどの対応を迫られるからです。
例えば、南面に壁一面の大開口を設けたり広大な吹き抜けを作ったりすると、UA値の悪化を招きやすくなります。快適性と開放的なデザインを両立させるには、深い庇やシェードによる適切な日射遮蔽対策をセットで計画する高度な設計技術が不可欠です。
注意点③|性能は施工品質で決まる
どんなに優れた断熱材を使用しても、現場での施工品質が伴わなければ本来の性能を発揮しません。断熱材に隙間があると熱が逃げるだけでなく、壁の内部で結露が発生し、建物の寿命を大きく縮める原因にもなるからです。
隙間なく施工するには熟練の技術が求められますが、現場発泡ウレタンフォームなどを採用すれば構造体に密着しやすく、高い気密性の確保が容易になります。確実な性能を担保するためには、全棟で気密測定(C値)を実施し、数値を可視化している施工会社を選ぶことが重要です。
現場発泡で構造体のすみずみまで密着し、隙間からの熱損失や内部結露を抑えるなら、「フォームライトSL」がおすすめです。詳細は以下からチェックしてみてください。
断熱等級に関するよくある質問

施主との商談時や社内での方針決定において、断熱等級に関してよく挙がる疑問をまとめました。実務でのスムーズな対応や、施主への説明の参考にしてください。
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▼断熱等級に関するよくある質問
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質問①|断熱等級はいくつを目指すべき?
これから新築住宅の設計や提案をする場合、断熱等級6以上を目安とし、最低でも等級5を確保することをおすすめします。2030年には等級5が国が定める省エネ基準の新たな最低ラインとして義務化される見込みだからです。
等級4で建ててしまうと、数年後には「基準未満の家」という扱いになり、将来的な資産価値が大きく下落する恐れがある点は理解しておきましょう。
質問②|断熱等級を確認する方法は?
断熱等級を客観的に確認するには、国が定める「住宅性能表示制度」を活用し、第三者機関が発行する評価書を取得するのが最も確実です。
公的な証明書を用いることで、住宅の省エネ性能を施主に対して透明性をもってわかりやすく提示できます。
まとめ

断熱等級は、住宅の快適性や省エネ性を図る重要な指標です。2025年の省エネ基準適合義務化に伴い、今や「等級4」は家を建てるための最低条件となりました。
さらに2030年には「等級5」が最低基準となります。そのため、これからの新築住宅では、等級6以上を目標とした断熱性能を採用することで、将来的な資産価値の維持につながります。
本記事を参考に、最新の基準に適合した高品質な住まいづくりを進めていきましょう。



